2025年9月18日木曜日
[PS5] アクションは魅力的だがそれ以外が残念なアクションゲーム Lost Soul Aside
10年の時を経てリリースされた中国製ハック・アンド・スラッシュアクションアドベンチャーLost Soul Asideの感想です。
どんなゲーム?
コンボを繋いで敵を薙ぎ払っていくハック・アンド・スラッシュなアクションアドベンチャーです。Devil May CryやFF16、あるいはプラチナゲームズのアクションあたりに近いゲームです。もともとは個人開発のアクションゲームですが、PVが話題を呼びソニーのChina Hero Projectに採用されたという経歴を持ちます。
難易度は低くアクションはわりと無双系。適当にボタンを押しているだけでもいろんなコンボで敵をスタイリッシュに倒せるので爽快感はあります。ジャスト回避やパリィの受け付け時間もかなり長く、アクションが苦手でもある程度きれいに立ち回ることが出来ます。
いいところ
先にも書きましたが、アクションの出来はかなりいいです。少しエフェクトが過剰かなという気もしますが、入力が緩いのでヤバそうならとりあえず回避、みたいな立ち回りでも簡単に攻略可能です。
武器種はモーションが早く火力と連撃のバランスがいい「剣」、防御性能が高く一撃は重いがモーションが遅い「大剣」、連撃と遠距離攻撃に特化した「ポールブレード(両刃剣)」、モーションに癖はあるものの全てが高水準な「鎌」の4つですが、それぞれに個性がありバランスは良好。どの武器も使い勝手が良く、戦闘中に武器を切り替えてシームレスな連撃を叩き込むことが出来ます。スキルの習得が進むとより強力なコンボを叩き込むことができるようになります(が、実際に叩き込めるかどうかは別の話)。
ストーリーも個人的には悪くないと思ってます。かなり王道というか、あってもなくても問題ないくらいあっさりとしたストーリーで味はしませんが、アクションゲームにそんな凝ったストーリーはいらない派なのでおまけ程度でちょうどいいです。
よくないところ
無限にあります。
戦闘に関して
戦闘のそのものの出来は悪くないのですが、戦闘中にちょくちょく入るギミックが本作の戦闘を台無しにしています。まず気になるのはボスのワールドツアー。プレイヤーの攻撃が届かないところから一方的に攻撃してきたり、無敵になって延々と殴ってくるフェーズがあり、その間はひたすら回避を連打するほかありません。中ボスクラスであればあまり気になりませんが、大ボスクラスになるとかなり長い時間回避に専念することになるのでテンポが非常に悪いです。コンボを叩き込ませてくれよ。
カメラもあまりよくありません。アクションゲームにしてはカメラの速度が遅く、加速度が低いため慣れるまでは疲れます。また敵も当たり前のようにワープしたり高速移動するので、カメラが追いつく前に攻撃を受けてしまうこともあります。
ロックの処理もでたらめです。正面の敵をロックすることもあれば最も近い敵をロックすることもあるため、ロックボタンを押したカメラが180°回転することも多々あります。ロック範囲から外れると再ロックが自動で走るため、気づくと全然関係ない敵をロックしていることもあります。
当たり判定は雑そのもの。見た目と一致している攻撃は少なく、基本的にはエフェクトよりもかなり広く判定が取られています。そのおかげで適当にボタンを押して回避できることも多いのですが、理不尽な被弾も少なくないです。
被ダメ時のフィードバックがほとんどないのも気になります。慣れてくるとなんとなく回避の失敗に気づくようになりますが、それまでは何か知らないうちにHPが減っていることが多いです。せめてコントローラを振動させてくれるだけでもいいんですけどね…
最高につまらないアスレチック
このゲームの価値を大きく落としている要素の一つが道中散りばめられているアスレチックです。本作の操作性は非常に悪く、ダッシュ中は小回りがきかず暴走し、ジャンプは垂直で空中制御はほぼ不可能。慣性もデタラメでいきなり失速して落ちるためアスレチックの難易度はかなり高いです。失敗すると大幅に巻き戻されるのもストレス。
現在は度重なるアップデートで大幅に難易度が下がっていて、もはやただの作業となっています。
ゲームそのものの構成が悪い気がする
先にも書きましたが、本作の戦闘はかなりよく出来ています。しかし、戦闘を楽しむためには全ての武器を解放したうえで、スキルを取得してコンボを繋げられるようになる必要があります。この状態にたどり着くのは終盤が始まるくらい、プレイ時間にして10時間程度かかります。それまでは制限された状態での戦闘を余儀なくされるため、面白いと感じる部分に到達する前にやめてしまう構成になっています。人によっては序盤で戦い方が固定されてしまい、終盤まで同じ戦い方を続けてしまうかもしれません。プレイスキルが整うまでにどれだけプレイヤーに自由に行動させるかは悩ましいところではありますが、DMCみたいなアクションゲームであることを正しく宣伝できていれば、序盤からある程度自由に行動できるデザインに出来たのではないかと思います。一番重要なプロローグが一番退屈ですからね、このゲーム。
その他細かい不満
何も無いマップ
マップには基本的には何もありません。たまに装飾品が落ちていますが、その他には使い道のないアイテムと使い道のないアイテムの素材、お金とスキルポイントくらいです。スキルポイントはノーマルクリア時点でほぼカンスト、分散次元(バトルアリーナ)等を遊べばすぐカンストするので周回時にはないも同然です。お金も店で装飾品を買うのに少し必要になるくらいで攻略にはあまり役に立ちません。一応ガチャっぽい要素もあるのでやり込むときには必要になりますが…
音のクロスフェードがおかしい
そもそもBGMのループも出来ていませんが、イベントが入るたびにBGMや効果音がブチッと切れるのが非常に気になります。
ムービーのスキップが長い
何故かムービーをスキップするたびに長い時間待たされます。長いときは10秒以上黒い画面を眺めることになります。
メニューの操作性が非常に悪い
メニュー表示中はすべての入力が2テンポくらい遅れます。
キャラデザに違和感
キャラクターはいかにも中華なデザインで、場違いでゴテゴテした服装が目につきます。モーションも大げさではっきり言って世界観から浮いています。ただ一部キャラクターについてはあえて違和感のあるデザインにしてあるのかな…と思わせるような説明があるので、狙ったものなのかもしれません。なおパンツは見えません。
グラフィックは悪くないが古臭い
グラフィックスは決して悪いわけではありませんが、現行機の基準からすると1〜2世代ほど遅れている感じがします。まぁ10年以上前に開発が始まったゲームなので仕方ないですね(10年前といえばPS4が出てすぐくらいですし)。ゲームプレイに大きな影響があるわけではないですが、UIと背景の色が被って著しく視認性の悪いステージがあります。
バグはかなり多い
アップデートでよくなりつつはありますが、バグの数はかなり多いです。致命的なバグも多く、リセットを余儀なくされることも多いため、こまめなセーブを心がけましょう。また詰み防止のためセーブスロットは分けておくといいと思います。以下気になったバグについて。
- 敵が動かなくなる
- 敵AIが停止しますが、殴ると大体よくなります
- 敵がHP0の状態で出現し、倒せなくなる
- 詰みです。ロードすれば直ります
- 戦闘エリアからはじき出される
- 遠距離攻撃でチクチクか、面倒ならロード
- クラッシュ
- 戦闘開始時によくクラッシュします。こまめなセーブを
- ナイトメアで4章のムカデボスのイベントが進まない
- 隕石が落ちてくると詰むので、超火力でイベントごとスキップするとよさげ
- 1.008のパッチで修正されました
- 回避時にダメージを受ける
- 仕様かもしれませんが、ジャスト回避してもダメージを受けることがあります。ハード以降で顕著です
- 大剣のカウンターが無効化される
- 大剣のカウンター中は無敵のはずですが、ダメージを受けてキャンセルされることが多々あります。強力なスキルですが過信は禁物
まとめ
本作は戦闘アクションを楽しむゲームです。しかし残念なことに、いかにもAAAタイトルであるかのような宣伝をしてしまったため本来届けるべきターゲット以外の部分にアプローチしてしまった悲しいタイトルです。もともと個人開発で始まったゲームであり、開発者もアクションゲームを作りたくて作っていたはずなのですが、やはりスポンサーには抗えなかったのか…
光る部分はあるものの、それ以外の部分全てが足を引っ張りまくった残念な作品です。アクションは魅力的なので、興味があるのであればセールで安くなったときに買いましょう。フルプライスの価値はありません。

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